2008年4月11日 (金)

【新釈】走れメロス 他四篇

「【新釈】走れメロス 他四篇」(森見登実彦 祥伝社)(評価:★★★★)

日本ファンタジーノベル大賞受賞作の「太陽の塔」でこの著者の存在を知ったが、まさに妄想族の申し子。

「太陽の塔」と比べると本書の評価は多少落ちるが森見節は健在だ。

本書では、往年の名作を森見風にアレンジしている短編が五作品ほど掲載されている。「山月記」(中島敦)、「藪の中」(芥川龍之介)、「走れメロス」(太宰治)、「桜の森の満開の下」(坂口安吾)、「百物語」(森鴎外)がそうである。

チャラい学生とは対極にある変人の域を超えた学生がどんどん登場する。こういう学生がいたら俺の学生時代も楽しかっただろうなあ。でも、すごく迷惑かもしれない。

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2008年4月 5日 (土)

スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学

「スタバではグランデを買え!」(吉本佳生 ダイヤモンド社)(評価:★★★★)

このタイトルをつけた編集者は優秀だろう。もちろん本書自体いい内容だがこのタイトルでなければここまで売れないと思う。

さて、タイトルにあるようにスタバでは、グランデ・サイズが480gで380円なのに対してショート・サイズは240gで280円である。差額が百円しかないのに倍の容量で果たして儲かるのか? ということが書いてあるわけだが結論から言えばグランデを頼んでも客側も店側も得をする。

あとタイトル以外のことで面白かったのは、日本が実はガソリンや軽油などの石油製品の輸出国だということ。なんとイランのような産油国にも輸出しているという。日本は石油精製技術が優れており、イランにはその技術がないからだ。

他にも百円ショップや携帯電話の料金設定の謎、子供の医療費の無料化が不公平を助長するなど「へぇ~!」と思わず声を出してしまうようなことがたくさん書いてある。

オススメ。

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2008年3月21日 (金)

DEATH NOTE アナザーストーリー ロサンゼルスBB連続殺人事件

「DEATH NOTE アナザーストーリー」(大場つぐみ・小畑健・西尾維新 集英社)(評価:★★★)

人気漫画デスノートのノベライズ版でストーリーはオリジナル。「戯言(ざれごと)シリーズ」などで有名な西尾維新が書いている。

不満があるのは、南空ナオミの性格設定が原作のイメージと少しかけ離れているところ。こんなキャラじゃないような気がするんだが。最後まで違和感があった。

良かったのは、竜崎とナオミの会話がリズムがあって笑えるところ。あまりにも竜崎の話す内容が原作のイメージ通りだったのでこれには最後までだまされた。

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2008年3月20日 (木)

下流社会 第2章-なぜ男は女に“負けた”のか

「下流社会 第2章」(三浦展 光文社新書)(評価:★★★)

前作は“下流”というネーミングがウケた。今回は前作でサンプル数が少ないなどと批判を受けた統計調査をデータやグラフをたくさん掲載することで補完しているが、それがあだになって逆に読みにくくなってしまった。

ただ、二十代のニートのサンプル数が572人もあり、その部分の分析は興味深い。ニートは、正社員・派遣・フリーターなどに比べると「自殺を考えたことがある」、「病気がち」、「ノイローゼ気味」などの人の割合が圧倒的に多い(病気療養中の人間がニートに区分されるためか?)。

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2008年3月19日 (水)

ニッポン経済の『ここ』が危ない!

「ニッポン経済の『ここ』が危ない!」(竹中平蔵・幸田真音 文藝春秋)(評価:★★★)

深く掘り下げていないがそのぶん気楽に読める。

気になる部分をメモ。

■格差の原因は高齢化の進行のため。高齢化すると統計上の所得の格差は拡大する。それ以外の要因は全体の八パーセントでしかない。構造改革による要因は最大でもそれだけ。その小さな要因は公共事業の削減。改革の結果として格差が拡大した、地方が疲弊したのではなく公共事業を減らしたからというのが正しい。

公共事業の八兆円というのは消費税率三・五パーセント分。だから、公共事業を減らさない代わりに三・五パーセント消費税を上げるほうがいいか、それとも消費税五パーセントのままで公共事業を八兆円減らしたほうがいいかという問いかけをすべき(P33-34)

■非正規雇用の人は経営者にではなく正規雇用者に怒るべき。彼らが搾取している(P50)

■ハーシュライファーという学者が唱えた「パワーのパラドックス」という法則がある。どんな法則かというと、経済的弱者は政治的に保護される→保護されることで競争から解放されて自由時間ができる→自由時間を政治活動に使う→経済的弱者は政治的強者になる(P62)

■グレーゾーン金利規制というのは天下の悪法。金利とはお金の価値だから高い金利がだめということは、高い価格がだめということ。一種の価格統制である。当然供給は減りどんどん貸し金業者が廃業している。しかも過去に遡及するという無茶苦茶なもの。多重債務者を救うなら破産法を変えて破産させたほうがいい(P64-65)

■モノづくりはGDPの四分の一を占めるが、経済成長をするには残りの四分の三のサービス業をどうするか。文化、観光、金融、情報を戦略的に大きくするべき(P93)

■バブル崩壊以前の約三十五年間で日本の消費者物価は五倍に上がっているが、その間に住宅地の価格は二百二十倍に上がった。土地に対する投資は、神話が生きていた時代は、ノーリスク・超ハイリターンだった(P137)

■五十代は男性のインターネット利用率がまだ五割。女性は二五パーセント。八十代では、男性で五パーセント、女性で一・五パーセント。お金を持っている高齢の人ほど十分使っていない(P180)

他にサブプライムローンのことも載っている。

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2008年3月12日 (水)

消費社会から格差社会へ―中流団塊と下流ジュニアの未来

「消費社会から格差社会へ」(三浦展・上野千鶴子 河出書房新社)(評価:★★★)

上野千鶴子の話を聞いていたら宮台真司を思い出した。頭は良さは十分伝わってくるんだけどちょっと下半身ネタが多いところとか。

上野先生が言う、一般職や派遣の「エビちゃんOL」が上昇婚を目指そうにも遊ばれるだけで、実際は階層内婚が増えていて階層が固定している話なんて説得力があるなあ。確か、山田昌弘(パラサイトシングルの命名者)も同じこと言ってた。

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2008年3月11日 (火)

思春期ポストモダン-成熟はいかにして可能か

「思春期ポストモダン」(斎藤環 幻冬舎新書)(評価:★★★)

斎藤環が今まで出していた本の総論というかダイジェストのような感じ。

目新しいのは、成人年齢を二十歳にするか三十歳にするかという点で斎藤環は三十五歳と考えているところ(その年齢に達すると個人として成熟するというわけではないが勤労意識はかなり変わる)。

その理由は、三十五歳というのは年金の受給資格という点から重要な区分になるから。年金が受給できるのは二十五年間も保険料を納めることが必要で、ニートやフリーターのまま三十五歳を過ぎたら年金はもらえない。厚労省がニートの定義を三十四歳までにし、そのための対策をしているのも年金の担い手を確保する意味がある。

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2008年3月 8日 (土)

他人の家計簿-ニート、秋葉系、株セレブ…格差社会を生きる若者たちのお金事情

「他人の家計簿」(主婦と生活社)(評価:★★★★★)

下手な経済本を読むよりためになる。

フリーターや学生の携帯料金が六千円から二万円というのには驚いた。こんだけ使うんだ。このデータを見ると高校生ですら五千円から一万円か。

下流社会の家計簿も公開しているが、家に風呂がないから銭湯代に一万二千円をかけている人がいた。スポーツクラブの会費のほうが断然安いと思うんだが。お風呂、シャワー、マッサージ器もついていて新聞も置いてあるし。

あと初めて知ったのだが、プロバイダ料金で五百円のところがあるんだ。いろいろ調べたところ、BB.exciteのような気がする。この記事を見るかぎり、問題はなさそう。我が家の場合、父親がメールアドレスを変えたくないから今のプロバイダのままだろうけど。

月収140万円の風俗嬢の家計簿も紹介されていたが、彼女は非常に堅実で生活費は20万で毎月必ず100万は貯金するという。この調査だと20代の44%が貯蓄にお金を回したいようだ。

デイトレーダーの家計簿が紹介されているが、それ以外の人で株やFXに投資している人はゼロだった。そんなものなのかなあ。うちの家族ではアネキ以外は全員やっているので当たり前の感じがしていたけど、珍しいのか。

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2008年2月 8日 (金)

容疑者Xの献身

「容疑者Xの献身」(東野圭吾 文藝春秋)(評価:★★★★)

「探偵ガリレオ」、「予知夢」に続く物理学者湯川シリーズの第三弾であり、初の長編小説。
実に面白い。そして見事に容疑者Xのトリックに騙された。ラストはあれで良かったと思う。ホッとした。

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2008年2月 1日 (金)

人にいえない仕事はなぜ儲かるのか?

「人にいえない仕事はなぜ儲かるのか?」(門倉貴史 角川ONEテーマ21)(評価:★★★)

本書の前半は橘玲的で非常によろしいのだが後半はちょっと退屈だった。

主に役立ったのは副業で経費を出来るだけ落とすやり方。例えば、仕事のためにパソコンを購入したのなら四年間に分けて経費として計上できる(減価償却)。

減価償却となる主な備品の法定耐用年数を以下のとおり。

  • パソコン→4年
  • デジカメ→5年
  • コピー機→5年
  • エアコン→6年

もっとも減価償却は事業が継続していることが前提。他に経費として落ちるのは家賃、光熱費、通信費など。ただ実家暮らしの場合、自室を事務所として親を大家とみなし家賃を経費として落ちるか調べてみたところ、可能という意見もあれば不可能という意見もある。これは税務署に訊くしかないか。

まだ父から紹介してもらった仕事は始めていないが軌道に乗ったらこういうことも真剣に考えていかないといけない。

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