となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術
「となりのクレーマーー『苦情を言う人』との交渉術」(関根眞一、中公新書ラクレ)(評価:★★★)
この本を読んだからといって交渉術をすぐに身に付けられるわけではないと思うが、いろんなクレーマーを紹介しているので興味深い。
筆者は長年百貨店で苦情処理係をやっていたらしいが、この仕事はよほどメンタルが強くないとやってられないだろうなあ。いや、この仕事だからメンタルが強くなるのか。
「となりのクレーマーー『苦情を言う人』との交渉術」(関根眞一、中公新書ラクレ)(評価:★★★)
この本を読んだからといって交渉術をすぐに身に付けられるわけではないと思うが、いろんなクレーマーを紹介しているので興味深い。
筆者は長年百貨店で苦情処理係をやっていたらしいが、この仕事はよほどメンタルが強くないとやってられないだろうなあ。いや、この仕事だからメンタルが強くなるのか。
「ホームレス中学生」(田村裕、ワニブックス)(評価:★★★★)
著者があとがきで書いてあるような芸人本ブームに乗っかっただけの本かと思いきや心に残るものがあった。
自分がホームレスになった原因である無責任な父親に対して怒りも恨みもしないところがすごい。こういう苦しい状況だと反社会的な行動を取ってもおかしくないのに。
それもこれもひとえに母への愛情なんだろうな。母に恥ずかしいと思われるようなことはしたくないという思いが本書のあちこちに書かれている。
もちろん友人の家族や近所の人たちや生活保護という制度、兄と姉ともに人間ができているからなんだろうけど。
本書を読み終わったあと、甘ちゃんな自分が恥ずかしくなった。
GEOでコミックのレンタルを始めたので行ってみたが、扱っているスペースが小さいのでがっかり。これから徐々に増えていけばいいんだけど……。
コミックのレンタル料金は一泊二日で一冊八十円。まとめて五冊借りると七泊八日とレンタル期間が延びる。とりあえず十冊借りてきた。株主だからレンタル料金が半額なのはありがたい。
「『食い逃げされてもバイトは雇うな』なんて大間違い 禁じられた数字<下>」(山田真哉 光文社新書)(評価:★★★)
「女子大生会計士の事件簿」シリーズの山田真哉の新著を読んだ。
上巻とちがい、今回は女子大生会計士の萌さんとカッキーが登場。計画中心主義を戒めている。計画好きで計画倒れの俺には耳が痛かった。
「お金は銀行に預けるな」(勝間和代 光文社新書)(評価:★★★)
読みやすくわかりやすいが内容が薄い。
住宅ローンは止めて賃貸にするほうがいいというのは理解できるが、なぜ著者が投資信託を勧めているのかわからない。
「【新釈】走れメロス 他四篇」(森見登実彦 祥伝社)(評価:★★★★)
日本ファンタジーノベル大賞受賞作の「太陽の塔」でこの著者の存在を知ったが、まさに妄想族の申し子。
「太陽の塔」と比べると本書の評価は多少落ちるが森見節は健在だ。
本書では、往年の名作を森見風にアレンジしている短編が五作品ほど掲載されている。「山月記」(中島敦)、「藪の中」(芥川龍之介)、「走れメロス」(太宰治)、「桜の森の満開の下」(坂口安吾)、「百物語」(森鴎外)がそうである。
チャラい学生とは対極にある変人の域を超えた学生がどんどん登場する。こういう学生がいたら俺の学生時代も楽しかっただろうなあ。でも、すごく迷惑かもしれない。
「スタバではグランデを買え!」(吉本佳生 ダイヤモンド社)(評価:★★★★)
このタイトルをつけた編集者は優秀だろう。もちろん本書自体いい内容だがこのタイトルでなければここまで売れないと思う。
さて、タイトルにあるようにスタバでは、グランデ・サイズが480gで380円なのに対してショート・サイズは240gで280円である。差額が百円しかないのに倍の容量で果たして儲かるのか? ということが書いてあるわけだが結論から言えばグランデを頼んでも客側も店側も得をする。
あとタイトル以外のことで面白かったのは、日本が実はガソリンや軽油などの石油製品の輸出国だということ。なんとイランのような産油国にも輸出しているという。日本は石油精製技術が優れており、イランにはその技術がないからだ。
他にも百円ショップや携帯電話の料金設定の謎、子供の医療費の無料化が不公平を助長するなど「へぇ~!」と思わず声を出してしまうようなことがたくさん書いてある。
オススメ。
「DEATH NOTE アナザーストーリー」(大場つぐみ・小畑健・西尾維新 集英社)(評価:★★★)
人気漫画デスノートのノベライズ版でストーリーはオリジナル。「戯言(ざれごと)シリーズ」などで有名な西尾維新が書いている。
不満があるのは、南空ナオミの性格設定が原作のイメージと少しかけ離れているところ。こんなキャラじゃないような気がするんだが。最後まで違和感があった。
良かったのは、竜崎とナオミの会話がリズムがあって笑えるところ。あまりにも竜崎の話す内容が原作のイメージ通りだったのでこれには最後までだまされた。
「下流社会 第2章」(三浦展 光文社新書)(評価:★★★)
前作は“下流”というネーミングがウケた。今回は前作でサンプル数が少ないなどと批判を受けた統計調査をデータやグラフをたくさん掲載することで補完しているが、それがあだになって逆に読みにくくなってしまった。
ただ、二十代のニートのサンプル数が572人もあり、その部分の分析は興味深い。ニートは、正社員・派遣・フリーターなどに比べると「自殺を考えたことがある」、「病気がち」、「ノイローゼ気味」などの人の割合が圧倒的に多い(病気療養中の人間がニートに区分されるためか?)。
「ニッポン経済の『ここ』が危ない!」(竹中平蔵・幸田真音 文藝春秋)(評価:★★★)
深く掘り下げていないがそのぶん気楽に読める。
気になる部分をメモ。
■格差の原因は高齢化の進行のため。高齢化すると統計上の所得の格差は拡大する。それ以外の要因は全体の八パーセントでしかない。構造改革による要因は最大でもそれだけ。その小さな要因は公共事業の削減。改革の結果として格差が拡大した、地方が疲弊したのではなく公共事業を減らしたからというのが正しい。
公共事業の八兆円というのは消費税率三・五パーセント分。だから、公共事業を減らさない代わりに三・五パーセント消費税を上げるほうがいいか、それとも消費税五パーセントのままで公共事業を八兆円減らしたほうがいいかという問いかけをすべき(P33-34)
■非正規雇用の人は経営者にではなく正規雇用者に怒るべき。彼らが搾取している(P50)
■ハーシュライファーという学者が唱えた「パワーのパラドックス」という法則がある。どんな法則かというと、経済的弱者は政治的に保護される→保護されることで競争から解放されて自由時間ができる→自由時間を政治活動に使う→経済的弱者は政治的強者になる(P62)
■グレーゾーン金利規制というのは天下の悪法。金利とはお金の価値だから高い金利がだめということは、高い価格がだめということ。一種の価格統制である。当然供給は減りどんどん貸し金業者が廃業している。しかも過去に遡及するという無茶苦茶なもの。多重債務者を救うなら破産法を変えて破産させたほうがいい(P64-65)
■モノづくりはGDPの四分の一を占めるが、経済成長をするには残りの四分の三のサービス業をどうするか。文化、観光、金融、情報を戦略的に大きくするべき(P93)
■バブル崩壊以前の約三十五年間で日本の消費者物価は五倍に上がっているが、その間に住宅地の価格は二百二十倍に上がった。土地に対する投資は、神話が生きていた時代は、ノーリスク・超ハイリターンだった(P137)
■五十代は男性のインターネット利用率がまだ五割。女性は二五パーセント。八十代では、男性で五パーセント、女性で一・五パーセント。お金を持っている高齢の人ほど十分使っていない(P180)
他にサブプライムローンのことも載っている。
「消費社会から格差社会へ」(三浦展・上野千鶴子 河出書房新社)(評価:★★★)
上野千鶴子の話を聞いていたら宮台真司を思い出した。頭は良さは十分伝わってくるんだけどちょっと下半身ネタが多いところとか。
上野先生が言う、一般職や派遣の「エビちゃんOL」が上昇婚を目指そうにも遊ばれるだけで、実際は階層内婚が増えていて階層が固定している話なんて説得力があるなあ。確か、山田昌弘(パラサイトシングルの命名者)も同じこと言ってた。
「思春期ポストモダン」(斎藤環 幻冬舎新書)(評価:★★★)
斎藤環が今まで出していた本の総論というかダイジェストのような感じ。
目新しいのは、成人年齢を二十歳にするか三十歳にするかという点で斎藤環は三十五歳と考えているところ(その年齢に達すると個人として成熟するというわけではないが勤労意識はかなり変わる)。
その理由は、三十五歳というのは年金の受給資格という点から重要な区分になるから。年金が受給できるのは二十五年間も保険料を納めることが必要で、ニートやフリーターのまま三十五歳を過ぎたら年金はもらえない。厚労省がニートの定義を三十四歳までにし、そのための対策をしているのも年金の担い手を確保する意味がある。
「他人の家計簿」(主婦と生活社)(評価:★★★★★)
下手な経済本を読むよりためになる。
フリーターや学生の携帯料金が六千円から二万円というのには驚いた。こんだけ使うんだ。このデータを見ると高校生ですら五千円から一万円か。
下流社会の家計簿も公開しているが、家に風呂がないから銭湯代に一万二千円をかけている人がいた。スポーツクラブの会費のほうが断然安いと思うんだが。お風呂、シャワー、マッサージ器もついていて新聞も置いてあるし。
あと初めて知ったのだが、プロバイダ料金で五百円のところがあるんだ。いろいろ調べたところ、BB.exciteのような気がする。この記事を見るかぎり、問題はなさそう。我が家の場合、父親がメールアドレスを変えたくないから今のプロバイダのままだろうけど。
月収140万円の風俗嬢の家計簿も紹介されていたが、彼女は非常に堅実で生活費は20万で毎月必ず100万は貯金するという。この調査だと20代の44%が貯蓄にお金を回したいようだ。
デイトレーダーの家計簿が紹介されているが、それ以外の人で株やFXに投資している人はゼロだった。そんなものなのかなあ。うちの家族ではアネキ以外は全員やっているので当たり前の感じがしていたけど、珍しいのか。
「容疑者Xの献身」(東野圭吾 文藝春秋)(評価:★★★★)
「探偵ガリレオ」、「予知夢」に続く物理学者湯川シリーズの第三弾であり、初の長編小説。
実に面白い。そして見事に容疑者Xのトリックに騙された。ラストはあれで良かったと思う。ホッとした。
「人にいえない仕事はなぜ儲かるのか?」(門倉貴史 角川ONEテーマ21)(評価:★★★)
本書の前半は橘玲的で非常によろしいのだが後半はちょっと退屈だった。
主に役立ったのは副業で経費を出来るだけ落とすやり方。例えば、仕事のためにパソコンを購入したのなら四年間に分けて経費として計上できる(減価償却)。
減価償却となる主な備品の法定耐用年数を以下のとおり。
もっとも減価償却は事業が継続していることが前提。他に経費として落ちるのは家賃、光熱費、通信費など。ただ実家暮らしの場合、自室を事務所として親を大家とみなし家賃を経費として落ちるか調べてみたところ、可能という意見もあれば不可能という意見もある。これは税務署に訊くしかないか。
まだ父から紹介してもらった仕事は始めていないが軌道に乗ったらこういうことも真剣に考えていかないといけない。
「亜玖夢博士の経済入門」(橘玲 文藝春秋)(評価:★★★★)
行動経済学、囚人のジレンマ、ネットワーク経済学、社会心理学、ゲーデルの不完全性定理などを扱った小説。でも難しいことはほとんど書いていないから読みやすいと思う。今までの橘玲が書いた小説「マネーロンダリング」や「永遠の旅行者」と毛色がちがう。
「ハチミツとクローバー」(評価:★★★★★)ー完結
面白さでは少女漫画の中でも「のだめカンタービレ」と双璧をなす。
「NHKにようこそ」(評価:★★★)ー完結
竜頭蛇尾というか。始めは勢いが良かったのだが徐々に……。ひきこもり漫画の難しさかな。主人公の脱ヒキが近づくにつれて思考ループが少なくなって実際に行動することが多くなり、読者(主に俺)との齟齬が生まれる。
「銀牙-流れ星銀」(評価:★★★★)ー完結
熊犬・銀が巨大熊の赤カブトを倒すために全国から猛者(犬だけど)を集めて熊軍団と戦うという話。赤カブト後の話もあるが蛇足のような気がしないでもない。
「プレカリアート」(雨宮処凛 洋泉社新書)(評価:★★★★)
プレカリアートとは、「Precario(不安定な)」と「Proletariato(プロレタリアート)」の造語。不安定な雇用・労働状況における非正規雇用・失業者を総称していう(本書より)。元々、この言葉は2003年にイタリアの路上で落書きとして発見されたという。
この本を読んで初めて知ったのだが、内閣府の定義では派遣社員もフリーターなのだという。となると、フリーター数は400万人で非正規雇用者数が1600万人と報道されてはいるが、内閣府の定義では日本には2000万人のフリーターがいるということになる。日本人の6人に1人がフリーターか……。しかも98%の企業が一度フリーターになった若者は採用したくないという。
不思議なのは、ワーキングプアと呼ばれる人たちの中にもこうなったのは自己責任と言っている人が意外にいたことだ。俺はこれは社会構造の問題だと思っている。ただ、雨宮さんが主張しているように「正社員を増やせ」、「正規と非正規の格差をなくせ」ということは無理だと思う。もし可能ならそれを実現しているモデル国を教えて欲しい(人口が少ないがゆえに一部の産業に特化できる特殊な国はのぞく)。
また、仮に法律で強制的に正社員増加と正規・非正規の格差をなくせたときのデメリットも明示するべきだ。ソニーやキヤノンのように外国人持ち株比率が高い企業の場合、このような法律が出来たら日本への比重を少なくするように株主が要求するはず。だとしたら、その煽りを喰らう人の数のほうが多いような気がする。それともみんなで平等に貧しくなりましょうよ、ということなのか。その点がよくわからない。
それから雨宮さんは「犠牲の累進性」ということをよく言っている。これはつまり「派遣社員が大変と言うけど、もっと大変なホームレスがいて、さらに大変なのはアフリカの飢えた子どもたちがいて……etc」というように、下には下がいると指摘することによって目の前の問題から目をそらすことで、よくありがちなことだけどこんなことを言う人は他人に愚痴を言えない人でもあるからそれはそれでつらそう。
「ひきこもりの<ゴール>」(石川良子 青弓社)(評価:★★★)
参考文献の量が半端じゃないし何か論文っぽい文章だなあと思ったら博士論文を土台にしたものらしい。その博士論文を審査してくれたのが宮台真司というのに驚いた。宮台真司はよく斎藤環と対談しているからひきこもり関連について詳しいのだろう。
本書の内容はというと、濃密すぎて読むのに疲れる。今の俺にはとても手に負えない。でも、動けなくて毎日悩んで考えがループしているヒキにはひょっとしたら光明を見いだせるかもしれない。
興味深かったのは、対人関係の克服が<回復の目標>とされているのにそれがクリアされてもその先になかなか進めず失望感を強める当事者が多いこと。支援者はそれに対して「働くことにこだわりすぎているのでは?」と意見すると、当事者から猛反発されることがある。働くことについて経済的な問題もあるのだが他に道徳的なそれも絡んでくる。かといって今すぐ働けるというわけではないのが辛いところなんだが……。
著者がよく取り上げている玄田有史(学者)と上山和樹(元当事者)のやり取りが面白い。玄田が、働くことを回転寿司に例えて「いつも食いたいネタが回ってくるわけじゃないけど取りあえず席に座らないとチャンスにはありつけない」と言うと、上山はそれに対してひきこもり当事者は寿司で食中毒を起こした経験があるから席につけないと反駁する。
じゃあ、どうすればいいんだ? と疑問が浮かんだところで著者は本書の最後のほうでアンソニーギデンズを持ち出して実存がどうのこうのと言うのだがこれがさっぱり分からない。 いまいち腑に落ちないので読了しても消化不良だった。
「め~てるの気持ち」(評価:★★★)-完結
父親と二人暮らしのひきこもり青年
↓
父親に彼女が出来たら脱ヒキすると約束
↓
本当に彼女が出来てしかも結婚
↓
そのあとすぐに父親が死ぬ
↓
若くて美人の女性と二人暮らしをするひきこもり
という思いっきりエロゲーっぽい(やったことないけど)ストーリー。しかも、主人公のひきこもりが実はイケメンというずるい設定もある。これはまずいだろ。やっぱり美女と野獣という設定じゃないと多くのヒキメンが絶望するぞ。
「高学歴ワーキングプア」(水月明道 光文社新書)(評価:★★★★)
学生が大学に喰いモノにされている様子が描かれている。大学側は少子化で経営が困難になるのを予想していたので各大学がこぞって大学院をつくり、就職氷河期も重なったおかげで多くの学生を大学院に入れさせることができた。もっとも学生側からすれば大学院を卒業したあとの末路は悲惨なものだったが……。
大学院に通って博士課程を修了しても就職率はたったの50%ていど。博士になっても正規雇用の教員のポストにつける人間は限りがあり、企業は博士を採用したいと思っていない。職にあぶれた博士たちは塾の講師やコンビニなどでバイトをして食いつないでいる。失業率50%という恐ろしい世界。
博士号を取っても就職が困難なのに博士号を持たない専任教員が多いという皮肉な事実もある(東大文学部では113人中51人しか博士号を持っていない【小谷田敦のブログより】)。
大学院博士課程に進んだ院生はそこまで費やしたコストを考えて研究者になることに固執するが、ポストに限りがあるためにほとんどが無職博士やフリーター博士になってしまう。博士課程まで行きながら潔く見切りをつけて別の道に進んだ人も紹介してあるが、こういう決断力も一つの能力なのだろう。
「ネットカフェ難民」(川崎昌平 幻冬舎新書)(評価:★★★)
ネットカフェ難民にならなくてもいい人が難民体験を綴っているのでいまいち切迫感がない。いつでも親元に帰れるという逃げ道がある安心感がどこかしら漂っている。本当のネットカフェ難民ももしかしたら感情が摩耗してしまってこういう感覚になるのかもしれないが。
でも、俺は一度もネットカフェに行ったことがないのでこういうお店の内情が分かったのは収穫だった。
「累犯障害者」(山本譲司 新潮社)(評価:★★★★★)
著者は元衆議院議員で秘書給与流用の罪で刑務所に入った。そこで刑務所内には驚くほど知的障害者がいることに気づいたという。どれだけの知的障害者が刑務所にいるかというと受刑者の三割弱がそうだという。これは知的障害者が犯罪を犯しやすいのではなくその受皿がないためなのだ。
『障害者白書』(内閣府)によると、日本の知的障害者は約45万9千人おり、これは日本の人口の0.36%にあたる。しかし、欧米各国では、知的障害者の数は人口の2~3%とされている。日本人は知的障害者が生まれにくい特質があるという医学的根拠はないので、これは日本の知的障害者の数とは障害者手帳を所持している人の数なのである。そうなると日本の知的障害者の多くは福祉と繋がりがないので行き場をなくし刑務所に繰り返し入る人も出てくる(知的障害のある受刑者の7割以上が再入所者。法務省発行『矯正統計年報』より)。
こういう実態があるのだが、知的障害者が事件を起こすとマスコミは途端に報道を控えてしまい、なかったことにされて対策も立てられずに放置されていく。刑務所の運営にだって受刑者一人当たり毎月28万近いお金がかかるのだから、知的障害者のために福祉の受皿をつくったほうが当事者にとってもいいだろうし犯罪被害者を一人でも少なくできると思うのだが。
その他にも本書には、知的障害者を養子にして障害年金を搾取する人間や売春する知的障害者の女性、ろうあ者だけの暴力団、刑事事件を起こしてもろうあ者は罪に問われない(今はこの刑法四〇条は削られた)ことなどが紹介されており非常に驚いた。
一読の価値はあり。
「狂った裁判官」(井上薫 幻冬舎新書)(評価:★★★)
著者は元裁判官。
裁判官は仕事が忙しすぎるので民事訴訟の場合、和解に持ち込むことに必死になる(判決起案の労力負担を避ける)。それ以外にも和解にこだわるのは、判決で勝敗をはっきりさせると上訴される可能性が高まり、裁判官にとって人事上のマイナスとなり出世に響くという理由がある。刑事事件の場合、刑を軽くさせることで被告人から上訴させないようにする(もっとも刑が軽すぎれば検察官から上訴があるだろうが)。
「ひきこもりはなぜ『治る』のか?」(斎藤環 中央法規)(評価:★★★)
著者がひきこもりの臨床に役立った、ラカン、コフート、クライン、ビオンなどの精神分析家の理論を簡単に紹介している。
昔の斎藤環と比べると障害年金のことを言うことはほとんどなくなった。極度にひどいひきこもりでも障害年金を取得するのは難しいのだろう。俺が通っていた作業所で統合失調症の人でも年金をもらっていない人もいるわけだからひきこもり程度では言わずもがな。
その代わりに(本書ではふれていないが)リバースモーゲージやベーシックインカムに言及することが多くなっている。本書では両親の現在の資産状況、借金の有無、今後の収入の見込み、生命保険、相続のプランなどを概算してみることを勧めている。親がいずれひきこもり本人より先に死ぬことは確率的に高いのでそのシミュレーションすることは大事なわけだ。
「世界征服は可能か?」(岡田斗司夫 ちくまプリマー新書)(評価:★★★★)
世界征服は本当に可能か真面目に考えた本。
悪の組織が、巨大ロボットや人造人間を造る技術があるなら会社を起業し上場して儲けた金でアメリカの政治家を買収したほうが世界征服に近づけそうだってところは思わず笑った。
世界征服論を絡めながら、南北戦争でなぜ北部アメリカが勝って南部アメリカが負けたのかも説明している。つまり北軍は自由主義工業経済であるのに対して、南軍は奴隷主義農業経済だったからだという。前者のほうが、解放された奴隷が個人の頑張りが賃金に反映されるために生産力が高くなり、しかも彼らは労働者でありながら消費者でもある。ゆえに経済的優位に立っている北部アメリカが軍備などで優れており、南部アメリカに勝てたという。(一部の支配層が豊かでも富を還元しないと全体として脆弱になり、そこをよその国につかれてしまう。だから世界征服しても富を一極集中してはならない)
それから古代ローマの統治制度にも触れている。ローマは、共和制から独裁者(任期制)が統治する制度に移り、そして皇帝(終身制)が統治する帝政になる(この歴史的流れは『スターウォーズ』の話を理解するのに不可欠)。しかも独裁者や皇帝は選挙で選ばれ、征服された民族から選ばれることが多いという。
これを現在のアメリカと対比しているところが面白く、巨大帝国が支配する代わりに紛争がない世界を目指したパックス・ロマーナ(ローマによる平和)ならぬパックス・アメリカーナを標榜するアメリカだが、大統領候補が女性だ黒人だと騒いでいる程度ではローマ帝国の後継者とはほど遠いと著者は喝破する。
結論として、世界征服はあまりうまみがないということ。悪の組織を作り上げて世界征服を狙っても金がかかるし、悪の構成員は悪の構成員になるだけあってモラルがないので裏切りも日常茶飯事。世界征服がうまくいっても世界の紛争を止めるのに心労が絶えないから過労死もしかねない。やっぱり世界征服はうまみがない。
「この国が忘れていた正義」(中嶋博行 文春新書)(評価:★★★★★)
著者は弁護士であり小説家(「司法戦争」はお勧め)でもある。
本書では、日本が犯罪者の更正を前提とした犯罪者福祉社会であることを示し、それを正すべきだと論じている。凶悪犯(殺人、強盗など)だった少年の再犯率を見ると、50%を超えており(平成16年度版『犯罪白書』)、大人の一般刑法犯の再犯率も四割に達しようとしている。しかも、囚人ひとりに対して毎月28万円もの金がかかる(収容費、作業費、人件費、官署費など)。
国は犯罪者に対しては至れり尽くせりである一方、犯罪被害者に対しては冷淡である。加害者に賠償金を請求するには民事裁判を起こさなくてはならず、訴訟手続きするには住所を書かなくてはいけないので報復を恐れて泣き寝入りする人が多数いる。
戦前では刑事裁判と民事裁判が同時に審理できるという付帯私訴(ふたいしそ)があった。しかし、戦後にこの制度は家父長制的で国家主義的であるためにアメリカ型人権にそぐわず廃止された(民刑分離)。そのために犯罪被害者の立場からすれば弊害が目立ち、人権擁護のための近代法の理想がおかしな結果を生んでいる。
そこで著者は、民刑併合の付帯私訴の復活を主張し、そして加害者保護の法体系(旧人権主義)から被害者救済(新人権主義)にあらためるべきだと言っている。
具体的には、国営刑務所から民営刑務所への転換を図る。これは囚人の「更正モデル」から「賠償モデル」への転換を意味する。刑務所内で工場を造り、安い賃金を活かして競争力のある製品ができる。囚人が得た収入のほとんどを被害者の賠償に当てれば名実ともに「一生かけて償う」ことが可能になる(今まで出所後に犯罪者が賠償金を払う例はほとんどない)。
【他にメモする点】
■EUへ加盟する国には死刑廃止が義務づけられている
■イギリスでは殺人や重大犯罪の被害者に限度額なしの完全補償をおこなっている
■ドイツには犯罪被害による後遺症のリハビリテーション費用や介護援助、住居費援助などの給付金制度がある
■アメリカには200万人を超える囚人がいて、この数は地球上でとらわれている囚人総数800万人の四分の一に達している
■アメリカの刑務所産業は300億ドル。日本のそれは米国の0.2%にも満たない
■(日本の)性犯罪者が出所後に一年未満で刑務所に戻る割合は43%に上る
■日本の場合、(国への)罰金を払わない人間は労役場に強制収容されて罰金を完済するまで働かされるが、犯罪被害者への賠償金を払わない人間からは強制回収できない
■EUでは死刑廃止をしているが犯罪被害者に対する支援が充実している。一方、日本では犯罪被害者への補償が不十分のまま、死刑廃止が叫ばれている
「裁判官の爆笑お言葉集」(永嶺超輝 幻冬舎新書)(評価 ★★★★)
爆笑お言葉集というタイトルに偽りあり! だが、内容は裁判官の人となりを垣間見えて興味深かった。法曹界の中でも特に弁護士関係の本を読んだことはけっこうあるが、裁判官はほとんどないからなあ。
裁判は平日しか開かれないので傍聴するにはニートひきこもりである今しかないな。裁判員制度も始まることだし。
「消費者金融 実態と救済」(宇都宮健児 岩波新書)(評価:★★★)
五年前の本なので今と少し違う。本書では深刻な不況下でも増収増益を続ける大手サラ金業者と書かれているが、今では消費者金融の大手四社は1兆7000千億円もの赤字を出している。
本書に掲載されている破産理由の中では、生活苦・低所得が21.9%でダントツだが、浪費・遊興費は3.7%、ギャンブルは1.6%しかない(2000年 日弁連消費者問題対策委員会調査)。しかし、NTTデータ経営研究所の2007年の調査では、消費者ローンで借りた理由では確かに日常の生活費のためという理由が50%以上あるが、ギャンブルのためという理由が16%もある。
裁判所でのグレーゾーン金利の無効判決が出たり、消費者金融での金利の引き下げのせいか? もっともそうなると今後は審査がますます厳しくなり、お金を借りたくても借りられない人も出てくるから闇金がますます栄えると思うのだが、著者の宇都宮健児さんによると、消費者金融の金利水準が低いフランスやドイツでは、闇金が存在しないらしい。どうしてなのかは分からないが、警察の取り締まりと罰則がめちゃくちゃ厳しいのかもしれない。
「わたしは甘えているのでしょうか? 27歳・OL」(村上龍 青春出版社)(評価:★★★)
「お金持ちになるよりも、そこそこのお金で満足したほうが幸せでは?」、「28歳から夢を目指すのは遅い?」、「彼氏がリストラされ再就職もせず…甘えていると思いませんか?」、「生活力のない、甲斐性なしの男はどうしてそうなっていくのですか?」……etc
無名の個人の上記のような相談を村上龍が回答している。村上龍らしく精神論や楽観論のない答えばかり。一番印象に残ったのは、『何かを選ぶということは何かを捨てるということ』という答え。確かに、昔と比べたら選択肢は増えたのかもしれないが代わりに捨てなくてはいけないものも増えている。
「いつまでもデブと思うなよ」(岡田斗司夫 新潮新書)(評価:★★★★)
オタキングこと岡田さんはなんと一年で五十キロも痩せたという。本人のビフォー&アフターの写真を見てびっくりした。
本書の前半で世の中が家柄主義社会→学歴主義社会→ブランド主義社会、そして現在は見た目主義社会へと変遷していることを強調している。その対策としてダイエットはローリスク・ハイリターンであるという。
デブはあらゆる職業で損をする。特に接客や営業では暑苦しくさわやかでないので不向き。デブは知的でも知的に見えないし、論理的でも論理的に見えない。自己管理能力に欠け、だらしないと見られてしまう。しかもデブは食費などがかかり不経済。デブはデブの分だけ損をするのだ。
しかし、デブは痩せられる!
著者が提唱するレコーディング・ダイエットならデブでも痩せられる(かも)。毎日、ただひたすら食べたモノ、食べた時間を紙にメモするだけ。そのようにして自分の食事パターンが分かったら次はこのようなサイトを参考にしてカロリーの計算する。自炊派はこっちのサイトがいいかもしれない。そのあとにもいろいろあるのだが基本はレコーディング(記録を取ること)。
著者は見た目主義社会について肯定も否定もしない。ただ、現実がそうなのだからデブは損だと主張しているだけだ。問題はデブでない人間はどうすればいいのかなのだが、このレコーディングというのは金銭面や仕事面、人間関係にも応用が利くらしい。デブでない人が見ても面白い。
※岡田斗司夫は自分に対する投資を内実系と見た目系に分けている
内実系
(1)出世・社会的地位-ハイリスク・ハイリターン
(2)資格取得-ミドルリスク・ローリターン
(3)トレンド情報通-ローリスク・ローリターン
見た目系
(4)整形手術-ハイリスク・ハイリターン
(5)ダイエット-ローリスク・ハイリターン
(6)メイク・髪型-ローリスク・ローリターン
(7)ファッション-ハイリスク・ハイリターン
「職場いじめ-あなたの上司はなぜキレる」(金子雅臣 平凡社新書)(評価:★★★)
著者はかつて東京都労政事務所で労働相談の仕事に従事していた。
本書の前半に紹介されているような職場いじめの例はすさまじい。上司から殴られて休職→解雇という事例を見るとこんな会社にさっさと見切りをつけて傷害事件で告訴、慰謝料を要求すればいいのにと思った。実際、職場のいじめを扱った裁判では企業の職場環境配慮義務違反とするケースが増えているという。
職場のいじめではパワーハラスメント絡みのことが多いが、これは日本だけではないらしい。フランスではモラルハラスメント、イギリスではモビング、アメリカではスピッティングなどという呼び名で社会問題化している。
本書の後半からは、いじめる人間をタイプ別に分類してみたり、パワハラ撃退術を披露してみたりしているがあまり参考にならないような……。著者が言うには、職場いじめには“やられたらやり返す”が基本だという。実際にやり返すわけではなく心構えが大事のようで相手になめられていては根本的な解決にはならないらしい。
この前、バイトしたときにこの本を読んでおきたかったな。俺は職場いじめにあったわけではないが心構えがなく勢いで戦地に赴いてしまったような感じだったから。論より実践なんだろうけど論も大事なわけで。と言いながらも論ばかり優先しているから怖くなって動き出せないのも事実なわけで。う~む、取りあえず来年また仕事にチャレンジしたいな。
「探偵ガリレオ」(東野圭吾 文春文庫)(評価:★★★★)
安定した面白さだがドラマ版を観ている人には派手さがないぶん物足りないかもしれない。巻末で湯川先生のモデルになった佐野史郎(俳優)が本書の解説をしている。
「年収120万円時代-生き抜くための知恵と工夫」(森永卓郎 あ・うん)(評価:★★★)
3年前は「年収300万円時代」と言っていた森永卓郎が予測が甘かったと反省し、「年収120万円時代」だと訂正した。
本書に掲載されている興味深いデータを並べてみる。
■1999年に27.5%だった非正社員の比率が、2003年には34.6%になっている(厚生労働省)。この数字が40%を超える日は近い(P17~18)
■非正社員の月給調査によると、10万円未満が37.2%、10~20万円未満が40.8%と、合わせて8割の非正社員の月給が20万円に届いていない(厚生労働省)。平均年収120万円の人は4割にも上っている(P18)
■貯蓄ゼロ世帯は全体で22.9%となり4軒に1軒の割合。年収300万円未満の世帯にかぎると36.7%に上る(金融広報中央委員会)(P58)
■消費者金融の利用者2000万人。労働者の4人に1人が借金していることになる(P59)
森永さんの主張をまとめると以下の通りになる。
アメリカ嫌い、市場原理主義者は嫌い、市場原理主義者は好戦的で戦争肯定派が多い、デフレは日銀が意図的に仕掛けた、戦後デフレに陥った国は日本だけ、デフレは長くは続かずインフレに転ずる、日本の財政破綻はあり得ない、お金持ちから金を取れ、(クリーンな)田中角栄型政治が一番求められる、など。
ただ、今の政治に「ノー!」と言うのはいいが、この状況が続くことを前提に年収120万円のサバイバル方法がほとんど載っていないのが難点。株でスロー投資なんてことぐらいしか書いおらず参考にならないので他の書籍を買ったほうがいい。
「14歳」(千原ジュニア 講談社)(評価:★★★)
千原兄弟の弟の私小説。ひきこもっていたときのことが書かれているが、将来のことなどに苦悩している姿は描かれているが外部に対して怯えのようなものは感じられなかった。
著者は不登校児だったときも昼間にパジャマを着たまま自転車で街中を走り回ったり、たまに学校に通ったときにクラスのボス的存在に絡まれてもぶん殴って対抗したりとなかなか気合いが入っている。こういう闘うべきときに闘ったやつが脱ヒキできるんだろうな。
なんていうかジュニアにはリアルホーリーランドの匂いがするぜ。
「ワーキングプア 日本を蝕む病」(NHKスペシャル『ワーキングプア』取材班・編 ポプラ社)(評価:★★★)
既にNHKでワーキングプアの特集番組を見ており既に聞いた話もあるので評価を★一つ減らした。
アマゾンのレビューを見てみると辛口の意見が意外にあったが俺も正直似たような考えがある。
例えば、生活保護を申請しない理由に「愛着ある土地を手放したくない」というのがあってこの感覚が理解できない。それは俺が東京の植民地みたいな埼玉に住んでいるからか。あと、今はワーキングプアの人にも過去に暮らしぶりが良かった時期があったのにそのときになぜ貯蓄しなかったのかという疑問がある。またワーキングプアの家族の存在があまり描かれていないケースがある。家族は一番最初のセーフティーネットだと思うのだが。そこらへんを本書で突っ込んで欲しかった。
あと気になる点が二つ。
■日本の母子家庭は123万世帯あり、別れた夫から養育費が支払われているのは、18%しかない。
■繊維産業では、中国人の研修生・実習生を違法に安い賃金で働かせている会社もあるという(残業代が時給二百円というケースもある)。もはや国産と言っても中国人が作っており、そこでは最低賃金法も守られないのでコスト競争では日本人は太刀打ちできない。
「ニート支援マニュアル」(工藤啓 PHP研究所)(評価:★★★)
ニートの子どもをもつ親御さんには役立ちそう。ニート自身にも各支援機関を知ることが出来てこれまた役立ちそう。ただ、メンヘラー系ニート・ひきこもりにはこの本はそれほど参考にはならないかな。そういう人たちには「ひきこもり救出マニュアル」(斎藤環著)のほうが役立つと思う。
「雨宮処凛の『オールニートニッポン』」(雨宮処凛 祥伝社新書)(評価:★★★)
現在の労働環境や格差問題について不満を表明するために、デモだ一揆だ革命だと言っている部分があるんだがこれらのことをやる余力ある若者はどれくらいいるんだろうか。少なくとも俺はやらないけどなあ。
最低賃金を引き上げろみたいな話も出ているけど俺は反対。最低賃金を引き下げないと働けない奴もいるから。せめて作業所と最低賃金付近のバイトの中間あたりの仕事があればいいんだけど、現状だとボラバイト(ボランティアとアルバイトの中間)ぐらいしかないか。
雨宮さんが、団塊世代の左翼の親父たちと飲み会に行ったら三千円も取られた、今の貧しい若者はそんな金を払えないから感覚が違いすぎるということを言っている(P177~179)。左翼活動家をするにしても今と昔とでは大変さが違うな。となると、同じ左寄りでも世代間の格差がひどいから連帯は無理そう。
左寄りと言えば、杉田俊介(「フリーターにとって『自由』とは何か」の著者)によると最近では2ちゃんねるでも右から左へと旋回していて若者が左傾化しているらしい(P187)。若者を中心に右傾化していると報道されるのはよく聞くが左傾化という言葉はほとんど聞かない。それはマスコミの大半が左寄りだからか? ただ同じ左でも高額所得者が多いマスコミと貧乏な若者とでは協力しそうにもないな。
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その他にも面白い話があって、貧困ビジネスというものがあるらしい(P95~97)。
例えば、レオパレス21とかスマイルサービスなどでは敷金・礼金・仲介手数料を0円にして入居する敷居を低くすることよって貧困者を入れやすくする。その分、家賃滞納リスクが高まるので追い出す工夫をしている。賃貸借契約ではなく、「部屋利用契約」や「施設利用契約」を会員になった者と結ぶ。賃貸借契約だと借地借家法があるために4~6ヵ月分家賃を滞納しないとなかなか追い出せないからだ。
入居しやすく、追い出しやすく、回転率を高めている。このシステム考えた人は頭いいなあ~、と不謹慎ながらちょっと思った。
もっと分かりやすい貧困ビジネスでは、場外馬券売り場のとなりにサラ金ビルが建ち並び、サラ金ビルが建ち並んでいる駅前には街金の看板を持った人がいて(サラ金で借りられない人が街金へ行く)、その看板を持っている人たちは野宿者である。まさに闇金ウシジマ君の世界だな。
「カラフル」(森絵都 理論社)(評価:★★★★)
童話文学っぽい小説だなと思ったら、案の定著者は童話文学出身だった。内容は、死んだ人間が抽選に当たって神様に別の人間の中に入れてもらえるという話。
早く目が覚めて朝の三時から読んでいた。
ヘビーな部分をライト(というよりあえて詳細な描写は控えている)に書いてあるのだが、童話文学っぽいから読みながら妙に罪悪感を感じてしまった。
「人はなぜ学歴にこだわるのか。」(小田嶋隆 メディアワークス)(評価:★★★)
SMAPの中居君が「シンゴ君は中卒だから」と言ったところ、CM明けに司会者が「ただいま番組の中で不適切な発言がありました」という謝罪のコメントがあったというエピソードが本書に載っていた。
たまたま、俺はこの番組のやり取りを見ていたが、中卒も放送禁止用語になったのかと不思議に思ったものだ。中居君に差別意識なんて毛頭ないだろうし、シンゴ君だって差別されたなんて全く感じていないと思う。
その一方、低身長や肥満、薄毛、貧乏(例:芸人の麒麟)、肌荒れ(例:芸人のブラックマヨネーズ)などで笑いを取るのは許される。
学歴ネタ、それも低学歴にふれることは神聖にして侵してはならないことらしい。
「予知夢」(東野圭吾 文春文庫)(評価:★★★★)
物理学者・湯川学助教授シリーズの二作目。オカルトとミステリをミックスした探偵小説(湯川先生は探偵のつもりじゃないが)。短編集なので時間があまりないときにさらっと読めるのでいい。
第1章 夢想る(ゆめみる)ー深夜、十六歳の少女の部屋に男が侵入、母親に猟銃で撃たれた。男は十七年前に少女と結ばれる夢を見たと言う(出版社の内容紹介)。
第2章 霊視る(みえる)ー幽霊もの。
第3章 騒霊ぐ(さわぐ)ーポルターガイストもの。先日、テレビでこれを映像化していたドラマを見たがうまく肉付けしていた。ただ、福山雅治演じる湯川先生が無意味な数式を書くのが不思議。なお、ドラマ版では学校教育法の改正に合わせて湯川先生は助教授ではなく准教授になっている。
第4章 絞殺る(しめる)ー火の玉もの。
第5章 予知る(しる)ー予知夢もの。
「格差社会の結末 富裕層の傲慢・貧困層の怠慢」(中野雅至 ソフトバンク新書)(評価:★★★★)
同じ著者が書いた「格差社会の世渡り」に比べると内容が濃い。例によって感想は面倒なのでアマゾンのレビューを参考にしてもらいたい。
気になったことだけ抜粋・引用・要約する。
1 就業を希望しない「非希望型」の若者の37.6%が年収300万円未満の世帯に属しているのに対して、年収1000万円を超える世帯の場合は、14%となっている。つまり、富裕層の若者は金持ちの親にパラサイトする例は少なく、貧困層の若者ほど貧乏な親にパラサイトしている。(P120~121)
2 母子家庭の収入は少なく就業環境が不安定であるが、なぜ母子家庭になったのか離婚原因を探ると「性格が合わない」(48.5%)となっている。今後、母子世帯になったのは自業自得だという世論が高まる可能性もある(P138~139)
3 警察庁の調べによると、無職者の殺人・強盗などの凶悪犯罪が圧倒的に多い(続いて高校生、土木作業員、失業者の順)。こうした状況が続けば、無職者が貧困層から抜け出そうと努力しているという主張は説得力を持たず、貧困層を排除する流れになりかねない(P142~143)
4 自民党の税制調査会が子育て支援減税の財源を確保するため、所得税の扶養控除に年齢制限を新設し、成人したニート、フリーターを対象から外す方向で検討に入った(P170)
(評価:★★★★★)
本書は、数ある新書の中でも当たりの部類に入る。感想を書くのも面倒なのでもし良ければアマゾンにたくさんのレビューがあるのでそっちのほうを見てほしい。
気になったことを箇条書きする。
上記のような状況でそれでもなぜ若者が3年で辞めるのか? それは年功序列制度の賃金モデルが、若いうちにただ働きして中高年になってからその報酬を受け取るようになっているから。経済成長が前提となっているこの制度に無理が生じ、若者は働き損になることを恐れて会社を途中下車する。
(評価:★★★)
副題が「努力が報われる人、報われない人」。考えてみると、こういった二分法のタイトルが付いた本が多く出版されている。
内容は、う~ん。可もなく不可もなくといったところ。日本には絶望的な格差は存在していないという件は、最近のIMFの指摘通り。
(評価:★★★)
再び二分法のタイトル。香山リカが今回取り上げた題材がスピリチュアル。彼女の、世の中の需要を嗅ぎ分ける嗅覚だけはいつも感心する。
本書の内容は、最近の新書全般に言えることなのだが薄い。スピリチュアルにハマル人とハマらない人の分析が全然足りない。もうちょっと突っ込んで欲しかったが。
唯一、本書を読んで興味深かったのは、江原啓之氏が「総理大臣の靖国参拝に反対している」ところ。著者は江原氏が本当は政治的な発言をしたいのではと思っているが、世の中のスピリチュアルにハマル人がそれを望んでいないということを書いている。
確かにオーラとか前世とか言っているぶんにはかわいらしいが、政治的な発言をしたら鼻白むだろうなあ。スピリチュアルにハマっている俺も。
どの漫画を借りて、どの巻まで読んだのか忘れそうなので記録を取っておくことにする。
なお完結した漫画のみ評価をつけることにした。(★五つで最高)
(評価:★★★)
天童荒太が書いたのでトラウマを扱った小説だろうなあと思ったら案の定だった。トラウマトラウマと何度も小説の題材にされていささか食傷気味ではあるが、一風変わった青春小説だと思う。
気になったのは、トラウマよりも主人公の生活のくたびれた感がそこかしこに出ていて新鮮味があった。親が離婚して経済的に豊かではない。進学する気もない(その経済力もない)。バイト先の工場での殺伐とした人間関係。将来の展望のなさなど物語の全面には出ていないけれど、行間から感じ取れる。
苦手な部類の小説なので評価は低くしたが読む人によっては逆の結果になると思う。
(評価:★★★)
ここに出てくる兄弟は、幸せなのか不幸せなのかよう分からん。
映画版も観たがそれほど違和感はなかった。ただ、映画だと本間直美役に沢尻エリカがやっていたがこれだけがイメージとちがう。個人的には映画版の本間直美が好き。
(評価:★★★)
エピソードをからめた文章が秀逸。例えば、「友人と渋谷に6時53分に待ち合わせすることになった。なぜ7時ではなくて6時53分なのか?」など。
ただ、内容が薄く1時間以内で読めてしまう(著者はそれを狙っているのだが)。前作の「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」と比べると内容は落ちる。
相変わらずタイトルの付け方はうまく、読者に読みやすいように書かれてはいる。続編が出るらしいので内容をさらに充実させてくれることを期待する。
「どろろ 1~3巻」(手塚治虫 秋田書店)(評価:★★★★)
四十年近く前の作品なのに全然古さを感じさせないのはさすがだ。もっとどろろと百鬼丸の旅を見たかったが彼らのそのあとの冒険は書かれていない。それが残念でもあるが想像力をかき立てられる要因でもある。
「押入れのちよ」(荻原浩 新潮社)(評価:★★★★★)
ホラーっぽい短編が九つ収録されている。ただ、怖いという小説はほとんどないがレベルが高いと感じさせる作品ばかり。
九つの短編は以下の通り。
・「お母さまのロシアのスープ」ー最後までソーニャとターニャの“関係”に気がつかなかった……。
・「コール」ーどっちが“どういう状態”になっているのかを注意しながら読んだから気がついた。
・「押入れのちよ」ー表題作にもなった短編。最後に「えっ! ちよのことじゃないのか?」と思った。
・「老猫」ー全ての短編の中で一番怖い。
・「殺意のレシピ」ーコメディっぽい。ありがちな展開と言えば展開。
・「介護の鬼」ー映像化したら面白そう。リアルゾンビって感じ。
・「予期せぬ訪問者」ーこれもコメディだな。
・「木下闇」ーお気に入りかも。
・「しんちゃんの自転車」ー切ない。
「サラリーマンは2度破産する」(藤川太 朝日新書)(評価:★★★)
著者はファイナンシャルプランナーで、これまでに一万世帯の家計を診断してきた実績がある。姉夫婦にこの本をプレゼントしようと思ったが、その前に自分で読んでみたがなかなかの良書。
まだサラリーマンでもない自分が役に立ちそうな部分は自動車にかかるコストに関する記述だ。
たとえば、180万円の車を買って4度目の車検まで9年間乗ったとする。車検の整備費用を含めてかかるコストが1回12万円。自動車保険に毎年7万円、自動車税が毎年4万円、毎月のガソリン代を1万円、駐車場代が月1万円とする。(P87)
この9年間に支払うお金は合計531万円にもなる(故障がないことが前提)。年間に直すと約60万円。駐車場代が必要ない人やガソリンをそんなに使わない人がいたとしても年間にかなりのコストがかかることがわかる。
「BRICs 新興する大国と日本」(門倉 貴史 平凡社新書)(評価:★★★)
今後、日本の将来を左右するかもしれないBRICsを知るための良書。
BRICsとはブラジル、ロシア、インド、中国のことである。近年、これらの諸国は豊富な天然資源と労働力を活かし急成長を伸ばしており、政治的にも軍事的にも無視できない存在になってきている。
日本は中国とは経済に関しては一蓮托生と言ってもいいぐらい関係が深いが、他のBRIとはそれほどではない。
「ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る」(門倉貴史 宝島社新書)(評価:★★★)
ワーキングプアの人たちからのインタビューが豊富なのが特徴だが、紙幅の関係からか著者のワーキングプアに関する分析が少ないような気がする。本書に出てくるワーキングプアは独り暮らしの人が多いが、これが全体の比率ではどうなのか分析が足りない。
以前、読売新聞の夕刊でワーキングプア特集が連載されていたが、それよりもかなり充実した出来。やはり、あるテーマを知りたい場合には新聞よりも新書のほうが情報量が多い(ただし最近の新書は質が低下しているが)。
「パラサイト社会のゆくえ」(山田昌弘 ちくま新書)(評価:★★★)
著者はパラサイトシングルを命名した学者。本書は雑誌に連載された記事を元に構成されたものなので多少まとまりに欠く。
夢追い型フリーターを擁護する一部のマスメディアがいる中、著者は苦言を呈している。例えば、著者がインタビューした一人にプロ野球選手を目指している二十代後半のフリーターがいる。バイトをしながらバッティングセンターに通い、毎年プロテストを受けては落ちるの繰り返し。好きな仕事を目指して頑張っていることには間違いないだろうが、彼が夢を叶える可能性は限りなく低い。
カメラマン、ネイルアーティスト、声優、漫画家、ソムリエなどで経済的自立を目指すフリーターも多いが、ほとんどの人が一生夢で終わる。これらの職業の難しいところはどの程度の努力でどの程度稼げるかが見えないところである。それゆえに見切りがつけられずダラダラ歳だけを取っていく。(P140あたり)
■本書で気になったところ
・フリーターの七割が正社員を希望している(2003年版『国民生活白書』)(P134)
・北欧では失業率の上昇など不況と自殺率の相関関係はない。スウェーデンでは、むしろ失業が増大したら自殺が減ったという統計があるくらいだ。(スウェーデンの生命保険制度では自殺では保険金が下りない)(P148)
「新中流の誕生-ポスト階層分化社会を探る」(和田秀樹 中公新書ラクレ)(評価:★★★★)
日本ではお金にゆとりがある中流家庭がたくさんいたため、家電製品を買ってくれる消費者が多かった。そのおかげで大量生産ができ、品質が高く値段が安い製品を海外に輸出し、世界市場を席巻できた。そう、かつてアメリカがやっていたように(例、T型フォード)。
しかし、日本はその中流が崩壊して極端な階層社会が訪れようとしている。アメリカは既にそうだが日本に負けた家電業界などを捨ててITと金融にシフトしている。これはアメリカの政治力と情報網、そして優秀な人材が集まりやすい国であればこそ成功できたと思われる。果たして日本はアメリカのようにできるのか。いや、できないだろうというのが著者の結論だ。
だからこそもう一度中流社会を構築するためにも累進課税を再び厳しくし、相続税も原則100パーセントにするべきだと思い切った施策を著者は提案している。
■本書で気になったところ
・日本の可処分所得の分布を分析した結果、中央値に比べて所得が半分未満の「相対的貧困層」の割合が、OECD加盟国の中で米国に次いで二番目(P7)
・日本は学歴社会ではない。韓国は極端な学歴社会で高卒と大卒では初任給で三倍も違う。このような傾向は台湾、シンガポール、中国、香港にも見られる。(P56-57)
・アメリカでも終身雇用制度を続ける有名企業はある。バイクメーカーのハーレーダビットソン社、そしてグリーティングカード会社のホールマークがその代表例だ(P104-105)
・スイスでは時給二千円が当たり前。大企業に就職した大卒者の平均給与は年収一千万円を下らない。もちろん物価は高いが、その高物価が高所得を生む(P137)
「世界政府アメリカの嘘と正義」(青山繁晴 飛鳥新社)(評価:★★★★)
タイトルは仰々しく小難しそうな印象を与えるが非常に読みやすい本である。二時間ほどで読めた。ただ、急いで書かれたものらしく内容はもっと詰めてもらいたいような気はしたが。
青山氏がこの本を緊急出版にした理由に映画『パールハーバー』に描かれた嘘と偏見に対する怒りがある。例えば次のようなもの。
・アメリカ軍、ルーズベルト大統領が日本に騙されて襲撃されているように描かれているが、実際は日本の暗号電報は完全に解読されていた
・日本軍の指揮、軍議がなぜか屋外(公園に軍人が集まりその背後には『軍極秘』という横断幕がかけてある)である。一方、米軍は立派な建物で軍議
・山本五十六率いる連合艦隊が漁船のような船なのに米軍艦船はまとも(太平洋戦争開戦当時の連合艦隊は米海軍を上回る最新鋭である)
・連合艦隊の攻撃を受けて逃げるのはみんな白人ばかり
他にもいろいろあったがおよそこんな感じ。ルーズベルト大統領が日本の真珠湾攻撃を知っていたかどうかというのはよく議論される話だな。例えば、米国人のロバート・B・スティネットは「知っている」派だが、日本人の秦郁彦は「知ってない」派。興味ある人は両者の本を見比べてみるといい。
青山氏が一番恐れているのは何の疑問を抱かず映画を観る若者が多いことらしいんだが、俺はほっとけばいいと思う。そういうやつは納豆をたくさん食っていればいいんだよ。
本書が書かれたきっかけは映画『パールハーバー』なのだが、真珠湾に関する記述は驚くほど少ない。個人的に面白いと思ったのはこんなのかな。
・CNNで「世界でもっとも脅威を感じる国はどこか」とアンケートを取ったらアメリカになった
・アメリカを世界で一番嫌っている国は、カナダ
・三沢基地と嘉手内基地のアメリカ空軍所属のF16とF15はイラクを爆撃している
・ビンラディンはイラク攻撃を歓迎している(フセインはイスラム教スンニ派であり、現実的な政策を採っているため女性もふつうに働ける。一方、アルカーイダやそれを率いるビンラディン、タリバーンは女性が働くこと、学校に行くことを良しとしない)
・フランス、ドイツが「反戦」の理由とは? フランスはイラクのフセインから石油ビジネスの参入を許されてきたから(中国、ロシアも同様。だからこの二カ国も「反戦」)。
ドイツは経済不況で失業率が悪化し、総選挙で政権の座を野党に奪われそうになったために「反戦」を掲げたが、野党は独米同盟を重視する立場から戦争反対とは行かなかった。ドイツの若者はアメリカの経済での一人勝ちを妬み、そして東西ドイツの統一を推し進めたくせにそのコストを西ドイツに押し付けたアメリカへの不満が転じて、「アメリカ反対、戦争反対」につながり、選挙で与党が政権の座を死守した
ドイツの反戦の理由が一番面白いな。大体、経済不況で戦争突入というのが通説なのにその反対だからなあ。
「そのケータイはXX(エクスクロス)で」(上甲宣之 宝島社文庫)(評価:★★★★)
第一回『このミステリーがすごい!』の大賞最終候補作品であるが、はっきり言って文章はうまくない。ただ、読みやすいし雰囲気は出ている。その点がバトルロワイアルに似ていると思った。
ストーリーは、旅行でとある村に訪れた女の子二人に次々と異変が起こるというもの。女の子(しおり)の一人が宿で偶然見つけたケータイを拾ってみたら、急に着信音が鳴り響いた。その場の勢いで電話に出たところ、モノノベと名乗る謎の男から恐ろしい話を聞かされる。その村では旅行で訪れた女の片目、片腕、片脚を奪い“生き神”として座敷牢に監禁するというのだ。しおりはモノノベを疑いつつもその村から脱出を図った……。
400ページ以上ある小説だが文章が易しいので一日で読める。ストーリー自体は気味悪いが鬱になるほどではない。腰を据えて読むタイプの小説ではないが暇つぶしには最適な小説。
「「ジョジョの奇妙な冒険Part7 スティール・ボール・ラン」(評価:★★★★)
貸しマンガ屋で借りてまとめて読んでっけどよォ、ジョジョの存在感が薄くねぇ? ツェペリの方が主人公っぽいつーか、主人公だよな? それはそうと、五巻でシュトロハイムが出てきたのは妙に嬉しかったな。
現在、1~9巻まで読了。
「GOTH」(原作・乙一、漫画・大岩ケンヂ)(評価:★★★★★)
GOTHとは、殺人事件や拷問の方法など人の暗黒面に惹かれる者たちのことを指す。
主人公は、異常な犯罪者をこっそり観察し、事件に関わった場所を“観光”したり殺人に使われた凶器を“戦利品”としてコレクションしたりする。異常者VS異常者という構図が面白い。
GOTHの世界観を堪能するにはやはり原作の小説を読んだ方がいい。だが、雰囲気を楽しむ意味では漫画版も質が高い(小説に比べて心理面の描写が少ないの致し方ないか)。
貸しマンガ屋さんでよく借りている漫画のタイトル
・「鋼の錬金術師」(荒川弘)
・「ツバサ」(CLAMP)
・「20世紀少年」(浦沢直樹)
・「うしおととら」(藤田和日郎)
・「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」(荒木飛呂彦)
・「×××HoLiCーホリック」(CLAMP)
・「ホムンクルス」(山本英夫)
・「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」(西義之)
マンガをレンタルできるところを見つけたので所有しているマンガは全部処分するつもり。
「ひきこもりの社会理論ーひきこもり完全理解のために」(市野善也 新風舎)(評価:★★★)
ひきこもり当事者が書いた本はいくつかある。勝山実の「ひきこもりカレンダー」、上山和樹の「ひきこもりだった僕から」、諸星ノアの「ひきこもりセキラララ」……etc。
本書もその一つなのだが今までの当事者本の中でもひときわ異彩を放っている。本のタイトルの通り、堅い(しかも難い)内容で当事者が書いたものとは思えない。
著者はひきこもっていた期間、読書に明け暮れていたらしいが同じ読書好きの勝山実氏とは方向性が違う。勝山氏がユーモアと自虐性を前面に押し出しているのに比べて、市野氏はひたすら理詰めでひきこもりが生まれた背景を解き明かそうとする。
「無痛」(久坂部羊 幻冬舎)(評価:★★★)
現役の医師が書いた小説らしく先天性無痛症や刑法39条などに触れてはいるものの、深く掘り下げてはいない。そのぶん読みやすくはなっている。映像化を期待しているような内容だと感じた。
グロイ描写が多いので鬱なときに読むのは止めたほうがいい。
「疲れたときは、からだを動かす!―アクティブレストのすすめ」(山本利春 岩波書店)(評価:★★★★)
疲れたからといってゴロ寝していても疲労は回復しない。むしろ適度な運動をしたほうが疲労回復に役立つという。
スポーツトレーナーの著者がプロスポーツ界で取り入れられているアクティブレストを一般向けに分かりやすく書いてある。オススメ。
「ハリー・ポッターと謎のプリンス」(J.K.ローリング)(評価:★★★★)
シリーズ全七巻で完結の予定だが本書は六巻目。物語が今までの巻以上に動き出す。主要人物の死。ハリーやロン、ハーマイオニーの恋の行方など一巻目を読んだときには予想できないことばかり。
個人的にはハリーの考え方にはちょっと……と思うことが多い。ハーマイオニーの考えはマグル(人間)にも理解しやすい。魔法の世界は相変わらず冤罪が横行し、教師の人格とは思えないような連中が生徒に教えているという点は理解不能。これも異世界ゆえにこそか。
「性愛格差論 萌えとモテの間で」(斎藤環 酒井順子 中公新書ラクレ)(評価:★★★)
■異性を口説く場合でも、モテる人はもし失恋(リスク)してもすぐ別の相手を見つけられる(リスクヘッジ)ので、失恋のダメージは小さい。だから気軽に多くの異性を誘うことができ、結果的にますますモテる。
モテざる人はモテないという自意識にとらわれ、失恋のダメージを予測しすぎて、ろくに声もかけられない。よって、ますますモテなくなってしまう。(P10)
■性愛は誰にとっても平等に不平等です。性愛関係の数で勝ち/負けが決まるのでしたら、たいがいの「おたく」は「ヤンキー」に太刀打ちできないでしょう。ならば幸福度において、誰が見てもヤンキー>おたくなのでしょうか。
そうではありませんね。
むしろ経済格差や学歴においては逆のことが多い。あるいは経済格差において圧倒的に勝ち組であるはずのホリエモンが、あれほど愛されたのはなぜか。理由の一つは、明らかに彼は性愛格差の負け組に見えたからです。事実はどうか知りませんが。(P22)
(俺の感想)
昨今おたくを取り上げる本が多い中でヤンキーについて改めて取り上げたのが本書の特徴か。考えてみれば、おたく産業よりもヤンキーの経済規模の方がはるかに大きい。パチンコ産業はその最たる例だろう。クルマや単車についてはおたくとヤンキー双方ともに親和性が高いと思われる。格闘技もそう。
ネット発の小説として、おたくに「電車男」があるならばヤンキーには「Deep Love」がある。ただし電車男の場合はおたくとしてのアイデンティティとエルメスはトレードオフの関係にあるが、ヤンキーの場合は仮にエルメスと出逢ってもヤンキーでいられる可能性は高い。
斎藤環は「ひきこもりはおたくになれ」と提唱しているが、俺は「ひきこもりはヤンキーになれ」と言いたい。無駄にピアスしたり髪を染めたりファッションに目覚めるべし。そして、筋トレしまくってマッチョになれば脱ヒキの日は近いはず。おたくとひきこもりの配合はよく見かけるが、ヤンキーとひきこもりのそれは少ない。極めて希少価値である。目指せ、ヤンコモリ!
「レンタルお姉さん」(荒川龍 東洋経済新報社)(評価:★★★)
レンタルお姉さんとは、ひきこもりニートのところに訪問して外に誘い出す職業。外に出られた人自身がレンタルお兄さん・お姉さんになったりもする。
本書に出てくるヒキ・ニートは強烈なキャラが多い。俺がデイケアで会っているヒキって案外普通だと思った。
「神の発見」(五木寛之・森一弘 平凡社)(評価:★★★)
森一弘さんはカトリックの司教。「ダ・ヴィンチ・コード」の推理に関しては否定している。ただ、ミステリーとしては楽しめたらしい。この辺はカトリックの寛容性を表わしている。
その寛容性を表現している例としてマザー・テレサがあげられる。マザー・テレサは敬虔なカトリック信者ではあるがヒンドゥー教の人が亡くなったときはヒンドゥー教のお経を唱えて送ってあげるという。キリスト教が一神教とは言っても他の宗教に対して敬意を表している人もいるのだ。
「新・ゴーマニズム宣言〈15〉中流絶滅」(小林よしのり 小学館)(評価:★★★)
久しぶりによしりんのマンガを読んだ。中流絶滅というタイトルに惹かれてしまって読んでみたが、相変わらずのよしりん節は変わっておらず歯切れが良い。ただ、格差問題については印象論に終始しており具体性に欠けている。
本書を読んで驚いたのは秘書のカナモリさんが辞めたということとよしりんが白内障と緑内障にになって失明寸前になっていたということ。
「ロウアーミドルの衝撃」(大前研一 講談社)(評価:★★★)
本書で気になった箇所を抜粋(一部、要約あり)でまとめてみよう。
・日本ではこれまでに20頭のBSE感染牛が発見されているのに対し、米は2頭(2005年5月)。米は日本の100倍の頭数の牛がいるから、危険性は日本のほうが1000倍近い。スイスでは「骨などの特定部位さえ除けば安全」として米から牛肉を買い続けている。
・日本のアサリはほとんどが北朝鮮産。「畜養」といって、日本の干潟にしばらく埋めてから掘り出せば国産表示になる。同様に、中国から持ってきたウナギも、浜名湖で一週間泳がせれば「浜名湖産」になる。
国内でも但馬牛が近江で食肉に加工されたら近江牛、松坂で加工されたら松阪牛になる。国産の緑茶でもなぜか消費者は「静岡茶」をありがたる。しかし、国産静岡茶の多くは、鹿児島県で作られている。
・ナチュラルキッチンは100円ショップだが、扱っているのはお洒落な人気輸入雑貨店やインテリアショップにあるようなセンスの良い商品。ダイソーのコンセプトを、より高級感のある輸入品が占めている分野に持ち込んだのが成功の秘訣。
・ファッションの分野において注目なのは「ZARA]。高級ブランドで5~6万円するジャケットと同等の商品が、ZARAなら一万円前後で買える。高級ブランドと違い、ZARAは流行のデザインを研究し、製造過程を徹底的に効率化して最短1~3週間で出荷し、商品の回転率が早い。3週間で店の品揃えが丸ごと一新する。
(俺の一言)
BSE感染牛に関する日米の危険性は検査方式が違うので一概に論じられないと思う。しかし、日本人は狂牛病よりもフグ毒で死ぬ確率が高いのに好んでフグを食べる民族なのでアメリカ牛に対する態度は不思議だ。
「陰日向に咲く」(劇団ひとり、幻冬舎)(評価:★★★★)
何となく幻冬舎っぽいなあ~と思って読んだらやっぱり幻冬舎だった。小説としては面白い。深みはないけど軽く読むぶんにはそこいらの作家より面白い。これは編集者が優れているためかもしれない。
五つの短編から構成されているがそれら一つひとつが独立しているようで実はリンクしている。一人称にすると書きやすいと劇団ひとり本人が言っていたとおり、全ての短編が一人称で書かれているのも特徴。
「『個』を見つめるダイアローグ」(村上龍 伊藤穣一、ダイアモンド社)(評価:★★★)
伊藤さんが出会ったというタクシーの運転手の話が衝撃的だったなあ~。そのタクシーの運転手は定年間近で自分の年金を計算したら暮らしていけないことが分かったので今のうちにホームレスになる準備をしているという。
普通なら生活保護を考えるところだが、この人にはその知識がないのか。それとも生活保護を受けるのがかなり厳しくなっているのか。日本の財政が破綻してきたらこういう話は珍しくなくなってくるんだろうな。
夕張市のように財政破綻すれば地方公務員に退職金を払えない自治体も出てくる。そして地方債が暴落。それに連鎖するように国債が暴落。日本経済が破綻。ホームレスの数が増大、と。
村上龍はこういう状況が考えられるのに依然として危機感を抱かない日本人に苛立ちを見せているわけだが……。まあ、危機感を抱きすぎて神経症になる人間もいるわけで善し悪しだな。
「県庁の星」(桂望実 小学館)(評価:★★★)
映画版ではパートの二宮さん役が柴崎コウだったが小説では中年の女性。ストーリーは伊丹十三監督の「スーパーの女」の劣化版のようなもの。
面白い点は役人が民間のスーパーに研修に行って様々なギャップを感じるというところか。
「ルポ ひきこもり 心の叫び 家族の絆」(新井健治・奥山雅久 埼玉新聞社)(評価:★★★★)
普通の本屋さんではどうも売っていないらしい(購入先はこちら)。
ひきこもりの講演があるので参考になるかなと思い、ぱらぱらとページをめくっていたらいつの間にか読み終えてしまった。
本書でひきこもりの一般的な構図を(1)~(7)まで箇条書きしてあり、わかりやすい。
(1)「心的巣篭もり」→二次的障害…他者性の欠如・家族機能不全・神経症の惹起
(2)(本人) ほっとする→つらくなる→(淋しい・悲しい・せめて親に分かって欲しい)ギリギリする→煮詰まる (同一人物でも変化していく)
(3)(親) イブカル→不安→分からない→抱え込み→「脱却への方向性」か「共依存(長期化の構造)」←第三者の風
(4)<今苦しいこと> 分ける <将来が不安でたまらない>
(5)病理性を嫌がるタイプ ⇔ 病理性が特定され取り組めるタイプ
(6)(脱却へのキーワード) きっかけ・好きなこと・タイミング
(7)家庭→中間施設⇔就業
(1)~(7)を頭に置いて整理しながら話をすれば分かりやすいかな。ただ、一般論よりも個人的な話をすることを求められそうではあるが。
一応、斎藤環や塩倉裕の本ぐらいは再読しておいたほうがいいか。さらに長田百合子や高岡健も押さえていたら万全? でも、ひきこもり当事者が書いた本を読むのは最近つらい。共感よりも反感のほうが強くなって。これはどういうことなのだろうか。
「オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える」(木村元彦 集英社インターナショナル)(評価:★★★★)
旧ユーゴスラビアという多民族国家のサッカー代表監督をやっていただけのことはある。マスコミや民族主義者からの圧力に屈することなく代表チームをまとめる能力はさすが。
彼の哲学、理念が母国の内戦などの複雑な環境から生まれたのかという問いに対して、
「確かにそうかもしれない……。しかし、それを認めてしまうと(戦争などが)必要なものになってしまう」という答えが印象的だった。
「下妻物語・完―ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件」( 嶽本野ばら 小学館)(評価:★★★★)
ヤンキーのイチゴとロリータの桃子が殺人事件に巻き込まれるが、相変わらず笑わしてくれる。イチゴ、面白すぎ。トリックをトックリと言い間違えるなんてありえねーだろ!
ラストは切ない一方でもう少し丁寧に描いて欲しかった。桃子の○○(伏字にしておく)に対する恋愛感情があまり伝わって来なかったな。
「町長選挙」(奥田英朗 文藝春秋)(評価:★★★★)
「イン・ザ・プール」、「空中ブランコ」(直木賞受賞作品)に続くとんでも精神科医・伊良部シリーズの第三弾。
ナベツネやホリエモンをモデルにしたと思われる二つの短編を含めて四つの短編を収録しているが、シリーズ中一番出来が悪い。それでも及第点の出来なので笑わせてはくれるだろう。
ちなみにウチの主治医(精神科医)はこのシリーズを読んでいるらしい。
「臆病者のための株入門」(橘玲 文春新書)(評価:★★★★)
デイトレーダーとしてコンスタントに年率20%の利益をあげられるようになったとしよう。
(中略)
あなたの運用資産が1000万円だとすると、20%の利益は200万円になる。
(中略)
それでも毎日朝9時から午後3時までモニタに張りついて年収200万円。時給換算すればマクドナルドのアルバイト以下である(P84-85)
結局、そういうことなんだよな~。本書にも書いてあるとおり、20代と30代は資産全体に占める人的資本の比率が圧倒的に高い。しかも日本は世界一人件費が高い。この機を逃すなんて経済合理性からほど遠い。
あぁ、早く完全なる脱ヒキしたい……。
「涼宮ハルヒの溜息」(谷川流 角川スニーカー文庫)(評価:★★★)
この小説はアニメ向きなのかもしれんなあ~、と思いながら読んだ。まだアニメ版は見ていないけど。
今回はハルヒが文化祭を楽しむために映画作りに挑戦。で、周りがそれに振り回されると。
「涼宮ハルヒの憂鬱」(谷川流 角川スニーカー文庫)(評価:★★★)
宇宙人、未来人、超能力者以外の普通の人間には興味がない涼宮ハルヒ(美少女、ただし超自己中心的)に主人公が振り回されまくる話。
大風呂敷を広げすぎて後半はやや息切れの感があるがこれぞライトノベルという印象。
第8回スニーカー大賞受賞作。
「少年とストライカーと約束」(上井建治 浦本典子 双葉社)(評価:★★★★)
2002年サッカーW杯であった感動の秘話。トマソン選手(デンマーク代表)と耳の聞こえない少年との約束とは?
絵本なので十分程度で読めてしまうが内容は濃い。
この話(簡略バージョン)をFlash形式で読めるサイトがある。
↓
トマソン選手と少年の思い出
「D.T.」(みうらじゅん 伊集院光 メディアファクトリー)(評価:★★★)
もてない男のポジティブな面を見出そうという内容なのだろうが、本田透氏の著書に比べるとどうしても色あせて見えるし切実感がない。
まあ、小谷野敦の「もてない男―恋愛論を超えて」よりは取っつきやすいと思うけど。
「東京奇譚集」(村上春樹 新潮社)(評価:★★★★)
五作品が収録された短編集。怪しくて不思議で比喩に富んだ話ばかり。「品川猿」という短編だけは他の作品との調和を崩しているような気がしたので★一つ減点。
「下妻物語-ヤンキーちゃんとロリータちゃん」(嶽本野ばら 小学館文庫)(評価:★★★★★)
映画同様、傑作。映像とちがって文字で楽しめる細かい部分が満載。
「7月24日通り」(吉田修一 新潮社)(評価:★★★)
主人公は妄想癖の持ち主。ただ、その妄想も大した妄想ではなく自分の住んでいる街をポルトガルのリスボンに重ね合わせる程度のもの。
それでも芥川賞受賞作品の「パーク・ライフ」に比べると読みやすい。
「国家の品格」(藤原正彦 新潮新書)(評価:★★★)
著者は数学者であるが論理や合理性よりも情緒のほうが大事だという。数学の世界でさえも正否を論理的に判定できない命題が存在するという。それをオーストリアの数学者ゲーデルが証明してしまった。
ゆえに論理性ばかりを重視するのではなく情緒を育むことが大事であり、そのためには武士道精神の復活をするべきだと主張している。具体的には新渡戸稲造の「武士道」を参考にしている。
新渡戸は海外に渡ったとき、ベルギーの法学者に「日本には宗教教育がない」という話をしたところ、大変驚かれたという。つまり、どうやって道徳観を養うのかと疑問に思われたのだろう。
そこで新渡戸は英語で『武士道』を書いた。それが非常に絶賛された。当時の米国の大統領セオドア・ルーズベルトは何十冊も武士道を買いあさり、各国の首脳に配ったという。
(※註1)ちなみに新渡戸稲造はクリスチャンである。
(※註2)個人的に本書で一番印象に残ったのはインドの数学者ラマヌジャンについての項である。ラマヌジャンはカースト制でも最上位に位置する「バラモン」に属しているが、非常に貧しい生活を送っていた。
だが、人々に恵んでもらっていたのに乞食の態度ではなかった。「俺は高尚なことを考えているんだからお前らは俺に恵むのは当然の義務」という態度だったという。10代後半から20代前半まで働きもせず明けても暮れても数学の日々。それでも周囲の人間は何も文句は言わなかった。
こ、これは! ラマヌジャンは現代でいうニートだったのか!
「不道徳教育」(橘玲=訳・文 ウォルター・ブロック=著)(評価:★★★★★)
実際はウォルター・ブロックの本を日本の実態に合わせて橘玲が超訳しているような形だ。ちなみに本書の副題は「擁護できないものを擁護する」である
その擁護できないもののリストをいくつかあげてみる。
最後の「幼い子どもをはたらかせる資本家」では訳者も書いているがナイキ社の事例が有名。途上国で子どもたちを働かせているとしてナイキ製品は人権活動家を中心にボイコット運動にあい、ナイキ社は18才未満の若年労働者を解雇。その結果、幼い子どもたちは物乞いか売春婦などに身を落としてしまう。
これらの擁護できないものを擁護するのはけしからん! と怒るのは簡単だが本書を読んで論理的に反論するのは非常に難しい。
リバタリアニズムの真髄に触れることができる一冊である。
読書をした。
一冊目は「不道徳教育」。副題が『擁護できないものを擁護する』。その名のとおり、麻薬密売人やシャブ中なども擁護している。
もっとも、ドラッグ解禁はミルトン・フリードマンやゲーリー・ベッカーなどのノーベル経済学賞を受賞した大物経済学者が論陣を張っており、経済学的にはその正当性は決着がついている。
二冊目は「嫌われ松子の一生(上)」。読んでいて憂鬱な気分になってきた……。
「フリーター漂流」(松宮健一 旬報社)(評価:★★★)
同名のタイトルの番組がNHKで放送されて話題になった。フリーターの厳しい現実をつけつけられて鬱になった人も多かったようだ。本書はその番組ほどのインパクトはない。
「萌え経済学」(森永卓郎 講談社)(評価:★★★)
野村総合研究所はオタク市場を2900億円の規模だと算出をしているが、著者はそれを過小評価だという。
野村総研は四分野(アニメ、アイドル、コミック、ゲーム)からしかオタクを見ていないが、本当の萌え市場はフィギュア、トレーディングカード、メイド喫茶、コスプレ衣装なども含まれる。
また萌え市場は、同人誌などに代表されるように供給者が消費者になるという特異な市場であるので統計が取りづらいのだ。
「超バカの壁」(養老孟司 新潮新書)(評価:★★★)
働きアリの法則(働きアリの約二割は“働かない”)を例に出してニートを容認している。
確かに内閣府の調査でも非希望型ニート(働く意志を表明していないニート)の数はここ十年変わっていない。
一方、自分探し系の若者に対しては手厳しい。自分にあった仕事があると思うな、と。まずは目の前の穴を埋めろ、と言う。
著者は靖国問題では小泉首相が個人で参拝するならOK、総理大臣の立場ならNOという考え。
国立墓地を作るということに対しては否定的。理由は国が宗教を作ることになり政教分離に反するから。ロジックとしては分かりやすい。
無宗教の慰霊施設を作ろうという考えの人もいるが、これはロジックとして矛盾をはらんでいる。そもそも無宗教であれば霊を慰めるはずがない。
全体的に平易で読みやすい。
「ウェブ進化論」(梅田望夫 ちくま新書)(評価:★★★★)
ロングテール論が興味深い。
一般の書店ではいわゆるベストセラー本で利益を出しているが、アマゾンのようなネット専業書店では売上の三分の一をそれ以外の本で出している。
広告費をかけられなくてもネットの世界ではニッチなものでも勝負ができるいい例だ。
図書館に行って本を借りてきた。
特に「不道徳教育」が楽しみ。橘玲には思想的影響をかなり受けているからなあ~。
今日借りた本はいつもより一週間長く借りられるようなのでありがたい。だって、まだちくま新書の「ウェブ進化論」(梅田望夫)を読み終わっていないし。
読みたい本がありすぎて嬉しい悲鳴をあげている状態。
本を読む気力がなかったが、試しに養老孟司 の「超バカの壁」を手にとってみたらすらすら読めた。
仕事というのはちょっとしたきっかけで変わることがあります。だから選ぶ前にあれこれ悩むよりも、目の前の穴を埋めろと書いているのです。(P179)
作業所で働くというのも目の前の穴を埋めるようなものかもしれないなあ。それが次につながる、と。
「甘えと日本人」(齋藤孝・土居健郎 朝日出版社)(評価:★★★)
土居先生といえば「甘えの構造」で有名な人。昔、読んだなあ~この本。
「甘え」というのは日本の独特の言葉、概念で欧米にはないらしい。土居先生は甘えというネガティブなイメージをポジティブなものとして捉えている。
日本では甘え上手な人のほうが先輩や上司、親や恋人にいたるまで人間関係を構築しやすい。一方、甘え下手な人は困ったときに周囲の人間に頼ることが出来ないので悪循環に陥ることが多い。
「わが人生の時の時」(石原慎太郎 新潮文庫)(評価:★★★)
著者は不思議な体験を聞いたり、自ら経験していることが多い。人魂を捕まえたことがある男の話などが特に興味深かった。
そのせいかスピリチュアル的なものに対して畏怖の念を抱いているようだ。
「コンセント」(田口ランディ 幻冬舎文庫)(評価:★★★★★)
ひきこもりの末、変死体で見つかった主人公の兄。それをきっかけに死臭を嗅ぎ分けられるようになった主人公。著者の実体験をリンクさせていると思われる点が多々ある。
主人公が心理学からシャーマニズムへと興味の変遷をたどっている部分でついていけない読者が多いと思われる。が、オイラはすんなりと得心がいった。というか今の自分そのものじゃないか!
性描写がたくさん出てくるのでその手のものが苦手な人は読むのがつらいかもしれない。
「ニートって言うな!」(本田由紀ほか 光文社新書)(評価:★★★★)
本書は今まで読んだ『ニート本』の中でも極上の部類に位置する。
内閣府の調査書から働きたいニート(非求職型)と働く意志を表明していないニート(非希望型)の数を示し、ここ十年で非求職型ニートが17万人近く増えているのに対して非希望型ニートが増減無しであることを指摘している。
つまり、マスコミが取り上げる『怠惰な今時の若者』というニートの姿は増えてはいないのだ。働きたいニート(非求職型)が増えているのはたんに景気の悪化である。それは内閣府が2003年に刊行した「国民生活白書」でも認めている。
が、その後のネガティブ・ニート・キャンペーンで今のニート像が作り上げられてしまった。不景気の影響が大きいのにそれを若者の自己責任という形にすり替え、ニート叩きに走るマスコミ。働きたいニートの4人に1人が病気・怪我を理由に求職活動ができないというのに……。
「コンセント」(田口ランディ)を初めて読んだのは今から五年ぐらい前だっただろうか。面白い、という感想を持ったことだけしかおぼえていないが今回は一つひとつの文章が心に引っ掛かる。
例えば、
相場はヒステリックな女みたいに感情的。感情の起伏が激しくて少しの刺激でカッとなる。そのくせ未来を予知したり、世界規模のシンクロニシティを起こしたりする。経済はけっこうオカルトかも。(P6-7の内容を要約)
田口さんって株取引をやっているのだろうか。確かに少し前に起きたライブドアショックのときの相場の動きはまさにヒステリックだった。関係のない食品関係の銘柄まで値を下げるんだもん。株式市場に一般投資家が参入している証拠か。おかげで下値で有望銘柄を手に入れた人もいるんだろうけど。一方、為替はそんな感じがしない。チャートを見ているとけっこう素直な動きをしていることが多い。
この小説の、葬儀屋の語るセリフに妙にリアリティを感じる。他の著書でも葬儀屋のことが書かれていたし、田口ランディは葬儀屋に知り合いでもいるのだろうか。以前、大家さんが管理人のブログで変死体が出たときの対応を書いた文章を見たことがあるけど、けっこうきついものがある。
「フェアプレイの経済学」(スティーヴン・ランズバーグ)を読んでいるが、これはなかなか刺激的なことが書いてある。
例えば、次のようなこと。 自分の娘が公園で遊んでいるときによその子供がおもちゃをたくさんもっているからといって、これを奪っていいなんて聞いたことがない。
しかし、金持ちから税金をたくさん取って貧乏人に分け与えようという政治家がいる。それを支持する有権者もいる。所得再分配といえば聞こえはいいが、よその子供からおもちゃを奪うのとどこが違うのだろうと著者は問う。
当然、著者は保護貿易や移民制限にも反対の立場だ。自国(アメリカ)の労働者の失業はダメでよその国の失業はいいという考えには与さない。
「博士の愛した数式」(小川洋子) 読了後、数学をやりたくなる人が続出する予感。
それはともかく、この小説は文章が丁寧だと思った。
物語に出てくる博士は記憶が80分しか持たないという設定。これを聞いて「メメント」という映画を思い出した人もいるかもしれない。
実際、こういう人はいるらしい。何かの本で、海馬を損傷して新しい記憶が構築できないという症例が載っていたのをおぼえている。
「白夜行」(東野圭吾)
すごい、この小説。人間の怖さが淡々とだが文章から滲み出てる。「秘密」(広末涼子主演の映画にもなった)の小説を読んだときの感想はいまいちだったが、この「白夜行」は良かった。
白夜行では、桐原亮司と唐沢雪穂の二人を中心に物語が展開していく。ドラマ版では亮司は山田孝之、 雪穂は綾瀬はるかが演じている。おいらのイメージでは雪穂役は中谷美紀か加藤あい。亮司は思いつかないな。 小説を読んだことだしそろそろハードディスクにため込んだドラマ版「白夜行」を見ることにしよう。
ヤマダ電機でDSソフト「えいご漬け」とDSカード入れを購入。
それからDVD-Rも。
【読みたい本リスト】
「医者にウツは治せない」(織田 淳太郎、光文社新書)
本はタイトルと装丁で売上が左右されると聞くが、この本のタイトルも著者の意向ではないような気がする。
ちょっと挑発的な題名に惹かれる。
「『ニート』って言うな!」(本田 由紀、内藤 朝雄、後藤 和智、光文社新書)
また光文社新書か。
「超バカの壁」(養老 孟司、新潮新書)
前作がバカ売れしたのに話題になっていないのはなぜなんだろう?
「家族の痕跡―いちばん最後に残るもの」(斎藤 環、筑摩書房)
ひきこもりなら斎藤環の本は必読だよな?
「反社会学の不埒な研究報告」(パオロ・マッツァリーノ、二見書房)
前作の「反社会学講座」よりインパクトはないという話だが、一応押さえておこう。
「自由は進化する」(ダニエル・C. デネット、NTT出版)
自由意志はあるのかないのかを論じている本、らしい。
「マクドナルド化する社会」(ジョージ リッツア、早稲田大学出版部)
読もう読もうと思ってまだ読んでいない本。今年中には読みたい。
「経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには」(大竹 文雄、中央公論新社)
精神疾患を患い、(その結果?)認知が歪み、非合理的な行動を繰り返すおいらにとっては経済学的思考というのはとても大事だ。というわけでチェック!
「永遠の旅行者 上」(橘玲)を読了。
主人公は、相続税を一円も払わずに孫に財産を相続させろという依頼を受けた……。基本は金融小説だが、ところどころに精神医学の話が出てくる。前作の「マネーロンダリング」もそうだったが、著者は精神病に関して何か思い入れがあるのだろうか。
精神病、シベリア抑留のことが書かれてあるので村上春樹を思い出したが、アマゾンのレビューを見たところ、俺以外にもそう感じた人がいたらしい。 ただこの本の骨子はあくまでも金融の知識。そして時折出てくるニーチェの思想。これらの要素が下巻ではどのように展開するのか楽しみである。
【マンガ】
デスノート1〜9巻を読んだ。
ライトとLの知恵比べがドキドキする。スラムダンクやドラゴンボールの連載が終わってジャンプが凋落の一途をたどったと聞いていたが再び復活したのか?
【本】
「1000 PATTERNS―古代から現代まで世界の模様1000選」が欲しい。でも五千円もする……。図書館でリクエストできるかな。
「となり町戦争」(三崎亜記)を読了。
本書は第17回小説すばる新人賞受賞である。 主人公は戦争が起きているのに一向にその気配を感じることができない。しかし徐々に戦争が起きている、らしい。でもその様子がまったく分からない。そしてそのまま終戦。アイディアがいいのでもう少しひねりを加えればめちゃめちゃ面白くなりそうなのが惜しいところ。
「神はサイコロを振らない」(大石英司)読了。
タイムトラベルものに少し味付けをしたストーリーだが、登場人物が多いので一人ひとりの状況を把握するだけで大変だった。
この小説は日本テレビ系列で来年一月からドラマ化されるそうだが、本書を見てなるほどドラマに向いていると思った。脚本家がいろいろいじれそうな設定だから。ちなみに「神はサイコロを振らない」はアインシュタインの言葉である。
図書館に行って本を借りてその足で作業所へ。
「生きることも死ぬこともイヤな人のための本」(中島義道)を読んだ。
前作の「働くことがイヤな人のための本」と同様、答えは出ない。ただ人生を半分降りながらでも社会と折り合いをつけていこうという著者の考えが読み取れる。著者はそのために大学教授という道を選んだわけだが、凡人はどうするべきか。
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